【読書感想】先延ばしにする人は早死にする!(著:メンタリスト Daigo)

要約

 心理学の研究をベースに、先延ばし行為による発生する弊害と、その対策について述べている。

カナダ・カルガリー大学研究によれば、約90%以上の人が先延ばしをする癖があるというデータもあり、先延ばしは人類共通の悪しき行動の習慣といえる。それは、人間の脳の構造に先延ばしを発生させる構造が内包されていることに起因している。①ホメオスタシスという現状を維持する機能を持ち基本的に変化を嫌う。②生存競争の過程で心配的傾向の増長。③大量のネルギーを消費するので省エネで怠惰性。こういった変化を嫌い、心配性で、怠惰な、脳の基本的特性が、面倒な作業や困難な作業の先延ばしを発生させてしまう。

こういった脳の特性に加えて、先延ばしを発生させる3つのメンタルブレーキが存在する。①目先の誘惑に負ける衝動性、②心配的傾向からくる自己効力感の低さ、③タスクに対する価値付けの誤り、この3つのメンタルブレーキが先延ばしを助長する。

先延ばしを防ぐことで、ストレスの軽減や時間の効率化、それに伴うチャレンジ機会の増大や金銭面での衝動性の抑制、メンタルヘルスや健康面での改善なども期待できる。先延ばしを抑制してメリットを享受するには、本著で紹介されている、if thenルールや5分ルールなど、科学の現場で効果の確認されたメソッドを利用して、自らの思考や行動、習慣を変えていく必要がある。

TIPS

・5分だけでいいと考えて、まずは手を付け始めること。最初から完璧にやろうとするのではなく5分でできる範囲のみと考えることで、最初のハードルを下げる。

・やるかやないかの2択で考える。どうしようか・・・と延々の考えるのではなく、2択に持ち込めると決断がしやすくなる。人が一番エネルギーを使うのは決断する時。

・if then戦略で、タスクを習慣化させる。メールが来たら即返信など、行動のトリガーとなるルールを決めておく。

・困難なタスクは小分けにして具体化する。難しいタスクは漠然とした難しさを感じさせるので、細切れにしてミニマム化させいくことで、取り組みやすくさせる。

所感

先延ばし癖の大きな原因はすべてメンタル面に起因しており、メンタル面の改善が自動的に先延ばしの改善につながっていくと考えられる。

メンタル面にはプラスの改善とマイナスの改善の双方があるので、両方対策をしていく必要がある。

プラスの改善は、目標を決めたり、自分自身の価値観を明確化するなど、自分自身の進みたい方向性や努力する意義を見つけ出す作業である。これがなければ、先延ばしを改善して時間効率を上げたとしても、その空いた時間を有効活用できないし、先延ばしを改善しようというモチベーションも沸いてこないだろう。自分自身の心が向かうコンパスの方向性を見定めるのがプラスの改善である。

マイナスの改善は、不安や焦り、落ち込みなど、メンタルが落ち込んでいるときにそれを正常に戻していく作業である。対策としては、食事や運動、瞑想など科学的に効果が確認されている手法があるのでそれを取り入れて実行するのが良い。その時には、本著で紹介されているようなif thenルールや5分ルールなどが、習慣化に当たっては有効なメソッドになるはずである。

このプラスの改善とマイナスの改善の両輪が大きく回転していくことで、必ず人生は好転していく。